本当のところ、むっちゃんは龍馬さんのことをどう思っているのか。
これに関しては今のところ、統一見解は出されていないようです。

ある人は、龍馬さんはむっちゃんにとってかけがえのない、唯一無二の主だと言い。
ある人は、むっちゃんは本人の意志とは関係なく、世人が望むように心身とも龍馬ナイズされただけだと言い。
またある人は、むっちゃんは実は龍馬さんのことなど何とも思ってない、と言い。———

議論百出の中、では自陣のむっちゃんはどうなのか。龍馬さんのことをどう思っているのか。
台詞からその心情を推測してみました。

1. 龍馬さんに直接言及しているもの/刀剣男士「陸奥守吉行」として発言しているもの

わしは陸奥守吉行じゃ。そうそう、坂本龍馬の佩刀として知られちゅうね。土佐じゃー名刀として評判やったがやけど、龍馬の時代じゃ、もう刀は時代遅れじゃった。けんど、それが世界というもんぜよ
龍馬さんコピーでない「坂本家の守り刀・陸奥守吉行」の自我から発していて、なおかつ龍馬さんについて語っている唯一のせりふ。
対面している相手(審神者=プレイヤー)が、坂本龍馬の名を当然知っていることを前提として語られる「坂本龍馬の佩刀として知られちゅうね」からは、自分の元主・龍馬さんが誰もが知る維新の英雄であること、そして自分がその英雄に佩かれていたことへの誇らしさが伺えます。

2. 龍馬さんに間接的に言及しているもの/刀剣男士「陸奥守吉行」として発言しているもの

・龍馬さんが新撰組に狙われていたところから

新撰組の刀とは喧嘩になりそうぜよ。あいつら、時代の流れについていけんかったけのう
新撰組から命を狙われてはいましたが、龍馬さん自身は新撰組に対して特に思うところはなかったようです。
なのに「新撰組の刀とは喧嘩になりそう」と言っているということは、これはむっちゃん自身の思いから出た言葉だと見てほぼ間違いないでしょう。
陽気で優しい気性のむっちゃんに似合わず、忌々しいものを吐き捨てるように言われたこのせりふからは、時代が変わるのをよしとせず龍馬さんを惨殺した者達への、むっちゃんの押し隠した怒りが伺えます。

3. 龍馬さんの代弁とも取れるもの

ここから先のせりふは、むっちゃん自身の意志で言ったのか、それともむっちゃんの中に染み込んだ「龍馬さん」が言ったのか判別不明なものです。

・龍馬さんの「世界に出たい」という夢から

わしは陸奥守吉行じゃ。せっかくこがなところに来たがやき、世界を掴むぜよ! 

・龍馬さんが「銃の前には刀なんて役にたたない」と言ったフィクションから

時代は拳銃ぜよ。やっとうなんて、時代遅れじゃ

わしにゃあ、この銃があったら十分じゃがの?

銃は剣より強し、じゃ

・龍馬さんが北辰一刀流免許皆伝だったところから

(大和守安定の北辰一刀流の構えを見て)むっ? その構えは……?

・大政奉還で無血革命を成し遂げるなど、龍馬さんが戦いを好まず、和平・話し合いを持ってよしとしたところから

戦なあ……必要なら、仕方ないがのう

さて、どうかのう? 心中を察したいがやったら言葉を交わしたほうがええと思うけんど

戦で褒められても、微妙じゃな……

・龍馬さんが気に入った服をボロボロになるまで着ていたことから

えっへへへ、もともとボロ衣装やき、大差ないぜよ

・龍馬さんが新しもの好きだったところから

どうじゃ、わしの斬新な作品は!

新しい装備はわくわくするのう!

大砲とか、装備出来んかのう?

・龍馬さんの本家が商家だったところから

商談なら、わしに任せちょけ

・龍馬さんが海援隊の長だったところから

わしが長か!? おんしゃあ、わかっちょるのう!

・龍馬さんが暗殺者たちに踏み込まれる直前に発した言葉から

ほたえなや

・龍馬さんが大勢の刺客に取り囲まれ暗殺されたことから

囲まれたら終わりじゃ。気をつけい!

・龍馬さんが龍馬が新時代を見ずして夭折したことから

なんやあ……わしはここで終わりか……新しい時代、見たかったのう……

・むっちゃんの豪快かつ剛直な性格→龍馬さんが豪放磊落な性格で強い信念を持っていたところから

・むっちゃんの話し言葉は龍馬さんと同じ土佐弁

・むっちゃんの着物の着方は龍馬さんと同じ(いつも着物の前を開け広げて胸を晒していた)

・むっちゃんの髪型は龍馬さんと同じ総髪(月代を作らず、髪全部を後ろに束ねてしばり、そのままにしている)

・むっちゃんの髪は龍馬さんと同じ天然パーマっぽい

・右手をふところに入れたむっちゃんの通常立ち絵は、龍馬さんの一番有名な写真と同じポーズ

・内番の時むっちゃんが籠いっぱいに抱えている芋は、龍馬さんの好きな食べ物とも言われている薩摩芋

……
3.のせりふだけ見ていると、むっちゃんはただの龍馬さんのコピー、モノマネをしているだけに見えなくもありません。
しかしながら、龍馬さんを、そして龍馬さんの佩刀であった自分を誇らしく思う気持ち。あるいは龍馬さんを殺した「変化を拒む者たち」への怒りは、単なるコピーや、他者から「坂本龍馬っぽくあること」を強要されてのものからは出てこないんじゃないでしょうか。

つまり、だから、むっちゃんは。
少なくとも自陣の本丸にいるむっちゃんは、龍馬さんが大好きで大好きで、今も当時と少しも変わらぬ気持ちのまま彼を慕い続けているのだろうと思います———彼を殺した者たちに、今なお消えない怒りを煮え滾らせるほどに。

そして。
自分の思いは語らず、代わりにその姿を、しぐさを、性格を元主そっくりに写し、本丸でくつろいでいる時も、戦場の只中でも——敵の刃に斃れ事切れるその瞬間までも「元主だったらこう言うだろうこと」を口にするのは、そうすることで自分の中に”龍馬さん”を降ろし、自身は彼の物言わぬ”佩刀”となって、共にこの時代を生き、実際の龍馬さんが見ること叶わなかった新たな時代を二人で見ていくためなのかも知れません。


むっちゃんは今、龍馬さんとともに生きているのでしょう。


———台詞はすべて『刀剣乱舞-ONLINE-』より引用