刀剣乱舞やサムライせんせい(ドラマ版)など土佐弁での創作用に、とりあえずこれだけ押さえておけば土佐弁っぽく見えるんじゃないかな? テンプレを作ってみました。
あくまで創作用に簡易にしたものなので、これが正式というわけではありませんのでご注意くださいm(_ _)m


* 創作の補助用にまとめた土佐弁辞書から使用頻度の高そうなものを抜き出しました
はよく使われるもの、は陸奥守さんがゲーム中で使っていたものです
* さらに簡素な早見表を作ってみました⇒土佐弁ひとことせりふ変換早見表
* とにかく手早く変換したい時には⇒土佐弁変換サイトいろいろ
* 極手紙を各土佐弁変換サイトで変換してみました⇒土佐弁変換サイトいろいろ2
* 変換&コンバータ使用法についての考察は⇒個人的土佐弁自力変換法+コンバータ
* 陸奥守さんから審神者への呼び方一例(極台詞含む)⇒陸奥守→審神者の呼び方考察
* ゲーム中の陸奥守さん台詞まとめ(極台詞含む)⇒土佐弁変換考察・1
* 具体的にどこまで土佐弁にすればいいか考察してみました⇒土佐弁変換考察・2
* この記事は土佐弁陸奥守先生の土佐弁講座で勉強させて頂いたことや、先生に土佐弁変換して頂いた自作小説などをもとに作成いたしました。先生いつも本当にありがとうございます!
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人称代名詞一覧

わし
あなた/お前さん おまさん
おまん
あんた(対年下、目下) おんし/おまん
お前 おんし/おんしゃ/おんしゃあ
貴様/てめぇ おんしゃ/おんしゃあ
〜ら/〜達、などの複数形 〜ら/〜らぁ
※おんしよりおまんの方が柔らかい言い方

語尾

〜だ 〜じゃ
〜ぜ、〜ぞ、〜だぜ、〜だ、〜よ、等 〜ぜよ
〜なあ 〜のう
〜よ(「〜だってば」的強調) 〜ちや
(〜しない)か/(〜しない)かい (〜せん)かえ
〜から 〜き
〜してね/〜してください 〜しとおせ
〜しろ 〜せえ
〜だから 〜やき
〜だろう 〜ろう/〜じゃろう
〜なんだ 〜ながじゃ
〜のか 〜がか

言い換え

○○しない/○○(し)ない ○○せん
いい(良い) ええ/えい
けれど/けれども/〜けれどね けんど
こんな/あんな/そんな/どんな こがな/あがな/ほがな/どがな
これほど/あれほど/それほど/どれほど こればあ/あればあ/そればあ/どればあ
こんなに/あんなに/そんなに/どんなに こがぁに/あがぁに/そがぁに/どがぁに
これくらい/あれくらい/それくらい/どれくらい こればあ/あればあ/そればあ/どれぱあ
すごく/本当に まっこと
そしたら ほいたら
それだから ほうやき
それだったら ほれやったら
だから、〜/(〜)だから やき
何もない/何でもない なんちゃあない
(例:どうして) (例:どういて)
(例:そうだ) じゃ(例:そうじゃ)/や(例:そうや)
のorん(例:そうなのだ/そうなんだ) (例:そうながじゃ)

進行形

〜(し)ていた(※過去形) 〜(し)よった
〜(し)ていた(※過去完了形) 〜(し)ちょった
〜(し)ている(※現在進行形) 〜(し)ゆう
〜(し)ている(※現在完了形) 〜(し)ちゅう/〜(し)ちょる
〜(し)ていない 〜(し)ちゃあせん
〜(し)ておく 〜(し)ちょく
〜(し)ておけ 〜(し)ちょき



この表を見ながら、下記のせりふを土佐弁ぽく変えてみたいと思います。

「俺は坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男だ。ギターの腕は熱情でカバーしているぜ! 君たち、俺の歌を聞いてくれないかなあ。ロックはいいぞ!」


1. 人称を変える

まずは人称を「俺→わし」「君→おまん」に変えてみます。



は坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男だ。ギターの腕は熱情でカバーしているぜ! たち、の歌を聞いてくれないかなあ。ロックはいいぞ!

                   

わしは坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男だ。ギターの腕は熱情でカバーしているぜ! おまんたち、わしの歌を聞いてくれないかなあ。ロックはいいぞ!」



なんとなく雰囲気は出ましたが、まだ大分足りません。
そこで……、

2. 語尾を変える

人称とともに語尾も変えると、さらに土佐弁っぽくなります。
特に、今回例に上げる「だ→じゃ」「〜だ、〜よ、〜ぜ、〜ぞ、etc→ぜよ」は使い勝手が良く、語尾をこの2つのどれかに変えるだけで、土佐弁ぽさを演出することが出来ます。



「わしは坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男。ギターの腕は熱情でカバーしている! おまんたち、わしの歌を聞いてくれないかなあ。ロックはいい!」

                   

「わしは坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男じゃ。ギターの腕は熱情でカバーしているぜよ! おまんたち、わしの歌を聞いてくれないかなあ。ロックはいいぜよ!」



「ぜよ」は汎用性がありますが、あまり使いすぎてもくどくなるので、個人的にはちょっとかっこつけて言いたい時や「日本を洗濯するぜよ!」など宣言ぽく強調したい時に「ぜよ」にしています。

さて、さらに語尾を「〜なあ→〜のう」にすると、もっとそれっぽくなってきます。



「わしは坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男じゃ。ギターの腕は熱情でカバーしているぜよ! おまんたち、わしの歌を聞いてくれないかなあ。ロックはいいぜよ!」

                   

「わしは坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男じゃ。ギターの腕は熱情でカバーしているぜよ! おまんたち、わしの歌を聞いてくれないかのう。ロックはいいぜよ!」


3. 細部のパーツを言い換える

語尾を変えてそれっぽくなってきたところで、今度は細部パーツの言い換えをしてみます。
これにはいくつか種類がありますが、中でも一番使うのが「〜しない」を「〜せん」に、「いい」を「えい」or「ええ」に変えるもの。
「〜しない→〜せん」は、「言わない」を「言わん」とか、「心配しないで」を「心配せんで」とかいう感じです。

これに従って、まずは文中の「聞いてくれないか」を「聞いてくれんか」に変えてみます。



「わしは坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男じゃ。ギターの腕は熱情でカバーしているぜよ! おまんたち、わしの歌を聞いてくれないかのう。ロックはいいぜよ!」

                   

「わしは坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男じゃ。ギターの腕は熱情でカバーしているぜよ! おまんたち、わしの歌を聞いてくれかのう。ロックはいいぜよ!」



同じように「おまんたち」を「おまんら」に、「ロックはいいぜよ!」を「ロックはえいぜよ!」または「ロックはええぜよ!」に変えます。



「わしは坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男じゃ。ギターの腕は熱情でカバーしているぜよ! おまんたち、わしの歌を聞いてくれないかのう。ロックはいいぜよ!」

                   

「わしは坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男じゃ。ギターの腕は熱情でカバーしているぜよ! おまん、わしの歌を聞いてくれんかのう。ロックはええぜよ!」


4. 進行形を変える

意外に大事なのがこの進行形。
ある意味「ぜよ」や「〜せん」に並ぶ要といえるかもしれません。
とうわけで、文中に「〜している」があるので、早速これを「〜しゆう」に変えてみます。



「わしは坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男じゃ。ギターの腕は熱情でカバーしているぜよ! おまんら、わしの歌を聞いてくれんかのう。ロックはええぜよ!」

                   

「わしは坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男じゃ。ギターの腕は熱情でカバーしゆうぜよ! おまんら、わしの歌を聞いてくれんかのう。ロックはええぜよ!」



ここで最初の文と比べてみると……、



「俺は坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男だ。ギターの腕は熱情でカバーしているぜ! 君たち、俺の歌を聞いてくれないかなあ。ロックはいいぞ!」

                   

「わしは坂本龍馬、熱い魂でロックを愛する男じゃ。ギターの腕は熱情でカバーしゆうぜよ! おまんら、わしの歌を聞いてくれんかのう。ロックはええぜよ!」



ここまでの変換で、幕末Rockの坂本龍馬のせりふを書くことが出来ました。


今度は、土佐弁が実際に使われている作品から色々なせりふを引用しつつ、変換してみたいと思います。


例1:『龍馬伝』

まずは簡単な例からいってみます。
武市半平太「おまん、わしを止めるために勤王党に入ったろう」

———NHK大河ドラマ『龍馬伝』第12回 暗殺指令より引用
このせりふを標準語に訳すと、



「お前、俺を止めるために勤王党に入っただろう」



これをもう一度土佐弁に直してみます。

まずは1.に従って「お前」を「おんし」に、「俺」を「わし」にしてみます。
……と、普通ならこれで良い筈ですが、例文は「おんし」ではなく、相手により近しく親しみのある「おまん」になっています。
このせりふは武市半平太が、幼なじみであり無二の友でもある坂本龍馬に対して言ったものなので、その親しさからより柔らかい「おまん」呼称になっているのかもしれません。



おまんわしを止めるために勤王党に入っただろう」



次に、2.に従って語尾の「だろう」を「ろう」に変えます。



「おまん、わしを止めるために勤王党に入ったろう



これで完成です。


例2:金曜ナイトドラマ『サムライせんせい』

今度はもう少し長いせりふを標準語から土佐弁に変えてみます。



「金が悪だとは言わない。ただ、権力の源になっている金が、志のない輩どもに握られている」



この例文には「わし」などの人称も「〜じゃ」「〜よ」などの語尾もないので、3.の言い換えを使って「〜しない」を「〜せん」に、「(悪)だ」を「(悪)じゃ/や」に置き換えてみます。



「金が悪じゃ(や)とは言わ。ただ、権力の源になっている金が、志のない輩どもに握られている」



次に、4.進行形を変える に従って、文中に二箇所ある進行形「〜(し)ている」を「〜(し)ちゅう/〜(し)ちょる 」に変えます。
ただ、両方「(し)ちゅう」だとちょっとくどいので、二番目を「〜(し)ちょる」にすると……、



「金が悪じゃ(や)とは言わん。ただ、権力の源になっちゅう金が、志のない輩どもに握られちょる



ここで元のドラマのせりふを見てみると……、
坂本龍馬「金が悪やとは言わん。ただ、権力の源になっちゅう金が、志のない輩どもに握られちょる」

———金曜ナイトドラマ『サムライせんせい』第8回より引用
長いせりふもかんたんに土佐弁にすることが出来ました。


例3:刀剣乱舞-ONLINE-

次のステップとして、短いけれど変える箇所の多いせりふを上げてみます。



「せっかくやったんだから、放っておいたらいけないよ」



この例文には人称がないので、2.の語尾変えからいってみます。
上の表を見ながら、「〜だから」を「〜やき」に、「〜よ」を「〜ぜよ」に変えます。



「せっかくやったんやき、放っておいたらいけないぜよ



次に、3.言い換え に従って、置き換えられる言葉を探してみます。
これも上の表を見ながら、「せっかくやったんやき」の「ん」を「が」に、「いけない」を「いかん」に変えます。
この「が」に変えられる「の/ん」の探し方ですが、正式には分からないのですがとりあえず自分流のやり方として、「の」にも出来る「ん」、または「ん」にも出来る「の」なら「が」に変えられるんじゃないかと思っています。
この例文では、「せっかくやっただから」の「」は「せっかくやっただから」と「」にすることも出来るので、これは「が」に変えられるかな、と判断しました。



「せっかくやったやき、放っておいたらいかんぜよ」



最後に、4.進行形を変える に従って、文中の進行形を変えてみます。
見てみると「放っておいた」と進行形があるので、上の表の「〜(し)ておく」⇒「〜(し)ちょく」を参考に「「放っちょいた」に変えます。



「せっかくやったがやき、放っちょいたらいかんぜよ」



元のせりふはこちら。
陸奥守吉行「せっかくやったがやき、放っちょいたらいかんぜよ」

———『刀剣乱舞-ONLINE-』より引用
少し応用がありましたが、これも手順を踏むことで土佐弁にすることが出来ました。


例4:刀剣乱舞-ONLINE-

最後に、次のせりふを1.〜4.まで全部使って変えてみます。



「あんたの言っているのはただの感傷だ。あんたの元主は、銃に撃たれてここに来れなかった」



まずは1.に従って、人称の「あんた」を「おまん」に変えます。



おまんの言っているのはただの感傷だ。おまんの元主は、銃に撃たれてここに来れなかった」



次に、2.に従って語尾の「だ」を「じゃ」にします。



「おまんの言っているのはただの感傷じゃ。おまんの元主は、銃に撃たれてここに来れなかった」



さらに3.に従い、「来れなかった」を「来れんかった」に言い換えます。
「来れな(い)」+「かった」⇒「来れん」+「かった」です。



「おまんの言っているのはただの感傷じゃ。おまんの元主は、銃に撃たれてここに来れかった」



最後に4.に従い、進行形を変えます。
「言っている」は「言う」+「(し)ている」なので、これを「言う」+「(し)ちょる」=「言うちょる」にします。



「おまんの言うちょるのはただの感傷じゃ。おまんの元主は、銃に撃たれてここに来れんかった」



元のせりふはこちらです。
陸奥守吉行「おまんの言うちょるのはただの感傷じゃ。おまんの元主は、銃に撃たれてここに来れんかった」

——————『刀剣乱舞-ONLINE-』より引用