陸奥守吉行の創作をする時、せりふのどこまでを土佐弁に変えればいいのか。
土佐弁変換考察・1の記事もふまえながら、もう少し踏み込んだ考察をしてみました。
※ゲーム版に基いています
では、少しずつ見て行きたいと思います。
これらは標準語と似た響きを持つものが多く、土佐弁を知らない人でも意味がつかみやすいために積極的に変えられているのではないかと推察しています。
例えば「わし」は土佐以外の地でも主に年配の方などが使うことがありますし、「おまん」は「お前」、「おんし」は「お主」と語感が似ているので、この言葉はもしかしてこういう意味かな?と思いつくことが出来ます。
語尾も「〜じゃ」「〜のう」などは時代劇でもお馴染みですし、「ながか」は「なのか」と語感が似ているので察しがつきやすく、あるいは「ぜよ」「きに」などのあまり馴染みがなく意味がつかみにくい語尾だったとしても、主文の意味が分かればなんとかなります。
例えば、「刀が農具の代わりをしたらいかんという法はないきに」の中で主となるのは「刀が農具の代わりをしたらいかんという法はない」なので、「きに」が分からなくてもまあとりあえず大丈夫です。
進行形もニュアンスでなんとなーく分かります。「雨が降りよった」と聞けば、過去を表す「〜した」「〜していた」の「た」が文章の最後についていることで、雨が降って……た、のかな? と察しがつきますし、そこまでいかなくても、今か過去かは分からないけど何か雨が降ってるということを言いたいんだな、ということは分かります。
逆に言えば、その文章の中で主となる言葉や土佐弁を知らない人がぱっと見で察しがつきにくい言葉、例えば名詞・動詞・形容詞などは、一部を除いてあまり積極的に変換されていないようです。
では、「人称」「語尾」「進行形」以外はどこをどれくらい変換すればより陸奥守っぽくなるのか。
それを調べるために、その他の「言い換え」の変換を見ていこうと思います。
けんど(けれど)
しもうた(しまった)
笑うた/思うた(笑った/思った)
ちっくと(ちょっと)
なんちゃあ(何でも/何も)
もんて(戻って)
〜せん(〜せん)※「言わんこっちゃない」「構わん」など
こがな(こんな)
どがな(どんな)
韻が似ているため、もしかしてあの言葉かな? と思いつきやすく、そこから見当をつけることが出来ます。
ちっくとのうが悪いき、休ませとおせ⇒ちっくとのうが悪い、休ませとおせ
時代の流れについていけんかったけ⇒時代の流れについていけんかった
ほがなことをしたち、なんちゃー変わりゃーせん⇒ほがなことをした、なんちゃー変わりゃーせん
もともとボロ衣装やき、大差ないぜよ⇒もともとボロ衣装、大差ないぜよ
土佐じゃー名刀として評判やったがやけど⇒土佐じゃー名刀として評判やったが
など、そこだけ読めなくても文章としてはなんとかつながります。
まっこと⇒「まっこと、あっぱれな男よ」
ほたえなや
よう⇒「ようやった!」
ただ「ほたえなや」だけは、龍馬ものを一度も見たことのない人には未知の言葉になるかもしれません。
ほがな⇒そんな(連体詞)
これらは標準語にも時代劇などにも似た言い回しがなく、抜いてしまうと文章の意味が少し違ってしまい、また前後の文脈からも意味がつかみにくいものです。
といって、これらの単語の意味がわからなくても、文章そのものが全く意味不明になってしまうとまではいきません。
例えば「しょうこわいちや」の「しょう」を抜いて「こわいちや」にすると怖さのニュアンスは弱まってしまうものの、一番肝心な「怖がっている」ということだけは伝わりますし、「やめちょき、やめちょき。ほがなことをしたち、なんちゃー変わりゃーせんちや」の「ほがな」が分からなくても、「やめとけ。やめとけ。ホニャララ〜しても、何も変わりはしない」……相手に行為の無意味さを訴えかけて止めようとしてるんだな、ということだけは読み取ることは出来ます。
言い換えについてはもう少し詳しく見ていきたいと思います。
「やっとう」は土佐弁ではなく、剣術や剣道、あるいは刀をさす俗称らしいのですが、それはさておき全体をつらつら見ていると、なんとなく法則性のようなものがあるのが分かります。
まず、本丸の「やっとうなんて、時代遅れじゃ」は同台詞内の「時代は拳銃ぜよ」、および刀帳の「龍馬の時代じゃ、もう刀は時代遅れじゃった」と対になっていると読めるので、「やっとうなんて、時代遅れじゃ」の「やっとう」は剣術ではなく刀をさしていると分かります。
ではなぜ刀帳では「刀」と言い、本丸では「やっとう」と呼んでいるかなのですが、これは刀帳のテキストは本来チュートリアルテキスト=審神者と初めて対面した時の台詞なので、土佐弁や俗称が分からない(可能性が高い)審神者のために刀帳(=チュートリアル)では「刀」と標準語で言い、一方本丸では既に近侍にしている=審神者ともある程度以上馴染んで土佐弁や俗称を出しても分かってもらえる状況になったため「やっとう」にしている、と考えることが出来ます。
ちなみに、極前の本丸で刀ではなく「やっとう」という言葉を選んだ理由ですが……、他の場合はどれも自分や他の刀も含めて広く「刀」と言っているのに対し、本丸では自分だけを指して多少の自嘲も込めて「やっとう」と言ったのではないかと考えています。
「新選組の刀とは〜」と同じく、極前の陸奥守さんの後ろ向きな視線が垣間見える台詞です。
長期留守の台詞で出てくる「帰ってくる」はチュートリアルと同じく、久しぶりの本丸で審神者は土佐弁を忘れてしまっているかもしれない、じゃあ標準語で話そう、という気遣いが伺えます。
遠征部隊の出迎え台詞「もんてきちゅう」は本丸および審神者への慣れと信頼、あるいは帰ってくる遠征部隊の方に気を取られているためにうっかり土佐弁が出てしまった……のどちらかが考えられます。
前者は近侍台詞ですが、審神者(及び修行の旅に出る刀剣を見送りに来た仲間たち)に言っているような台詞なので、土佐弁がわからない仲間にも通じるよう、「どんな」と言ったのかもしれません。
後者は鍛刀完成時の台詞ですが、こちらは審神者に答えを求めるものというより、鍛刀で迎え入れる仲間を楽しみにするあまり思わず出たひとりごとと取ることも出来そうです。
その場合は遠征帰還台詞と同じく、意図せず土佐弁が出てしまったのかもしれません。
ゲームの陸奥守さんは基本的に動詞は土佐弁にしないので、「だれる」ではなく「疲れる」と言ったのではないかと思われます。
確定とするのは難しいですが、もし使い分けるとしたら
・直後に「か」が来る⇒がか 「おんしゃは、目標はあるがか?」
・直後に「や」が来る⇒がや 「せっかくやったがやき」
・それ以外⇒「の」もしくは「ん」 「その先を見据えるのが肝要ぜよ」「なーんもすることがないっちゅうのは、もったいないのう」「たまにはこういうのもええのう!」「でっかいことを成し遂げてきたんじゃろ?」
となるでしょうか。
「(し)たち」は土佐弁に詳しくないと意味のわかりにくい言葉なので、普通は「しても」と言っているのではないでしょうか。
けれど回想の時は「ほがな」「したち」「なんちゃー」「変わりゃーせん」「ちや」とわざと濃い土佐弁を多様することで、逆に相手への言葉の当たりを柔らかくしようと配慮しているように思えます。
多少きついことでも言うべきことは言っておかなければならない、けれど標準語のままだとあまりに言葉が強すぎるので、濃いめの土佐弁を多用することで少しでも耳当たりを和らげよう――と。
これも冷静な(破壊時も含めて)時は「終わり」で、怒髪天になった時のみ「終い」になるのかもしれません。
———『刀剣乱舞-ONLINE-』より引用
土佐弁変換考察・1の記事もふまえながら、もう少し踏み込んだ考察をしてみました。
※ゲーム版に基いています
● 変換優先度は 人称代名詞=語尾=進行形>その他言い換え ● 名詞や動詞など文章の主となるもの・意味が分からないと文意が全く通じなくなってしまうものは標準語のまま使う ● ただし、ひとりごとや感情的に非常に昂ぶっている時などは、名詞や動詞なども土佐弁になる時がある ⇒「遠征部隊がもんてきちゅうね」「おんしゃあ終いじゃあ!」など ● 「ほたえなや」等の有名な言葉や「のうが悪い」等独特な言い回しはあえて標準語にせず、土佐弁のままで使うことも ● 審神者が目の前にいる。審神者とはまだ馴染みが浅く、接し方を探っている感じ ⇒「おんしゃ/おんしゃあ」 ● 審神者が目の前にいる。審神者との距離は縮まったけれど、まだまだフォローが必要な未熟な存在として接している ⇒「おまさん」 ● 審神者が目の前にいる。審神者に心を許していて、自分と対等の仲間・同志として接している ⇒「おんし」 ● 近くにはいない審神者への呼びかけ ⇒「主」※仮確定 ● 審神者以外の者への呼びかけ ⇒「おまん」※仮確定 |
では、少しずつ見て行きたいと思います。
■ 人称代名詞
おんしゃは、目標はあるがか? | 近侍として審神者に向けて言っている 恐らく一対一、他の刀はこの場にいない 世間話の続きのような気軽な会話 |
おんしゃあ、わかっちょるのう! | 自分を隊長に任命した審神者に向けて言っている 他の刀はこの場にいるかもしれない こちらも肩肘はらない、ざっくばらんな話し方 |
おんしゃあが頼みじゃ。よろしくな | 世話している馬に向けて言っている 他の刀はこの場にいる可能性が高い 相手が馬なので、やはりざっくばらんな話し方 |
わしが抜いた以上、おんしゃあ終いじゃあ! | 敵に向けて言っている 他の刀はこの場にいる可能性が高い 極の台詞。真剣必殺、つまり必死の状態での言葉なので、語気が荒い |
おまさんもこれで一周年じゃ!いつまでも新人顔はできんのう! | 就任一周年を迎えた審神者に向けて言っている 恐らく一対一、他の刀はこの場にいない まだまだ未熟な審神者への励ましと戒めを込めた話し方 |
おまさんもこれで一周年じゃ! これからもわしらを頼むぜよ! | 就任一周年を迎えた審神者に向けて言っている 恐らく一対一、他の刀はこの場にいない 極の台詞。主を主と認め、頼りにしている話し方 |
おまさん、今日で就任二周年か。がんばってきたのう | 就任二周年を迎えた審神者に向けて言っている 恐らく一対一、他の刀はこの場にいない 審神者へのねぎらいを込めた褒め言葉 |
おまさんは今日で就任二周年じゃ。わしらを支えるでっかい柱になったのう | 就任二周年を迎えた審神者に向けて言っている 恐らく一対一、他の刀はこの場にいない 極の台詞。本丸の大黒柱へと成長した審神者への喜びの言葉 |
これがおんしの戦績ながか | 審神者に向けて言っている 恐らく一対一、他の刀はこの場にいない 公式文書を見ているためか、少し改まった話し方 |
おんし、これからどうするつもりなが? | 審神者に向けて言っている 恐らく一対一、他の刀はこの場にいない 上記と同じ状況だがこちらは極の台詞。ただ現状を確認するだけでなく、その先のことまで聞いてきている |
おんしもこれで就任三周年じゃ。もうすっかり玄人じゃのう! | 審神者に向けて言っている 恐らく一対一、他の刀はこの場にいない すっかり一人前に成長した審神者の成長を喜ぶ一方、少し改まってもいる話し方 |
おんしもこれで就任三周年じゃ。わしらをこれからも支えてくれ | 審神者に向けて言っている 恐らく一対一、他の刀はこの場にいない 極の台詞。審神者を主として頼りにしている話し方 |
就任四周年、おめでとう! わしが思うに、おんしはもっとでっかくなれる器じゃ! | 審神者に向けて言っている 恐らく一対一、他の刀はこの場にいない 極の台詞。審神者を主として誇りにし、期待している話し方 |
わしもおんしの本気に応えようとしたまでじゃ。一緒に世界、掴むぜよ! | 審神者に向けて言っている 恐らく一対一、他の刀はこの場にいない 極の台詞。審神者をただ守るべき存在ではなく、同じ夢を叶える同志として認めている言葉 |
主よ、おんしは、わしの見られんかった明日を……絶対に…… | 独り言に近い 戦闘の只中、他の刀はいる可能性が高い 極の台詞。同じ夢を追う同志である審神者に後を託す言葉 |
おまんの言うちょるのはただの感傷じゃ | 長曽根虎徹へ向けて言っている 戦場だが一対一で他の刀はすぐ近くにはいないかもしれない 相手を戒めるような言い方 |
おまんの元主は、銃に撃たれてここに来れんかった | 長曽根虎徹へ向けて言っている 戦場だが一対一で他の刀はすぐ近くにはいないかもしれない 相手を諭すような言い方 |
■ 言い換え
創作用土佐弁変換テンプレート・簡易版でも書いた通り、標準語から人称代名詞(わし・おまさんetc.)、語尾(ぜよ・じゃetc.)、進行形(〜しちょいた・〜しゆう・〜しちゅうetc.)そして独特の言い回し(なんちゃあ・ええ)を変えると、かなり土佐弁っぽくなります。これらは標準語と似た響きを持つものが多く、土佐弁を知らない人でも意味がつかみやすいために積極的に変えられているのではないかと推察しています。
例えば「わし」は土佐以外の地でも主に年配の方などが使うことがありますし、「おまん」は「お前」、「おんし」は「お主」と語感が似ているので、この言葉はもしかしてこういう意味かな?と思いつくことが出来ます。
語尾も「〜じゃ」「〜のう」などは時代劇でもお馴染みですし、「ながか」は「なのか」と語感が似ているので察しがつきやすく、あるいは「ぜよ」「きに」などのあまり馴染みがなく意味がつかみにくい語尾だったとしても、主文の意味が分かればなんとかなります。
例えば、「刀が農具の代わりをしたらいかんという法はないきに」の中で主となるのは「刀が農具の代わりをしたらいかんという法はない」なので、「きに」が分からなくてもまあとりあえず大丈夫です。
進行形もニュアンスでなんとなーく分かります。「雨が降りよった」と聞けば、過去を表す「〜した」「〜していた」の「た」が文章の最後についていることで、雨が降って……た、のかな? と察しがつきますし、そこまでいかなくても、今か過去かは分からないけど何か雨が降ってるということを言いたいんだな、ということは分かります。
逆に言えば、その文章の中で主となる言葉や土佐弁を知らない人がぱっと見で察しがつきにくい言葉、例えば名詞・動詞・形容詞などは、一部を除いてあまり積極的に変換されていないようです。
では、「人称」「語尾」「進行形」以外はどこをどれくらい変換すればより陸奥守っぽくなるのか。
それを調べるために、その他の「言い換え」の変換を見ていこうと思います。
土佐弁⇒標準語 | 元のせりふ |
ええ⇒良い |
・勝てばええんじゃ、勝てばなあ! ・たまにはこういうのもええのう! ・言葉を交わしたほうがええと思うけんど ・なかなかええのう! ・ほんなら、それでええ |
が⇒の/ん |
・土佐じゃー名刀として評判やったがやけど ・せっかくこがなところに来たがやき ・おんしゃは、目標はあるがか? ・せっかくやったがやき ・心中を察したいがやったら ・どんな服を着てくるがやろうなあ ・今更やっとうの稽古をしても仕方ないがか? ・馬の役割が変わる日も、そのうち来るがかのう |
き⇒から | ・ちっくとのうが悪いき |
け⇒から | ・時代の流れについていけんかったけのう |
けんど⇒けれども |
・けんど、それが世界というもんぜよ ・刀の時代はもうとうの昔に終わってしもうたけんど |
(〜して)しもうた⇒(〜して)しまった |
・ちっくとばかし強くなってしもうたのう! ・刀の時代はもうとうの昔に終わってしもうたけんど |
じゃ⇒だ |
・龍馬の時代じゃ、もう刀は時代遅れじゃった ・わしにゃあ、この銃があったら十分じゃがの? ・戦で褒められても、微妙じゃな…… ・臨時収入じゃあ ・まっはっは、調達じゃな ・どがな奴じゃろうなあ ・あっという間じゃのう ・じゃが、まだまだここで立ち止まっちゃおれんのう! ・もうすっかり玄人じゃのう! ・気分転換も必要じゃな ・いつかは、この銃も時代遅れになるじゃろう ・おんしゃあ終いじゃあ! ・拳銃のおかげじゃなあ ・でっかいことを成し遂げてきたんじゃろ? |
しょう⇒すごく | ・しょうこわいちや |
(思/笑)うた⇒(思/笑)った |
・笑うた笑うた! ・なんぞあったかと思うたぜよ! ・死ぬるかと思うたぜよ |
ち⇒って | ・ほがなことをしたち |
ちっくと⇒少し |
・ちっくとのうが悪いき ・ちっくとばかし強くなってしもうたのう! ・ちっくと席を外すぜよ |
なんちゃあ⇒何でも/大したこと/何も |
・なんちゃあない ・なんちゃあじゃない ・なんちゃー変わりゃーせんちや |
のう(が悪い)⇒具合(が悪い) |
・のうが悪いぜよ ・ちっくとのうが悪いき |
ほたえ(な/ている)⇒騒(ぐな/いでいる) |
・ほたえなや ・ほたえゆう場合やないな |
まっこと⇒本当に |
・まっこと斬新ぜよ! ・まっこと充実した時間をすごしたぜよ |
もんて⇒帰って | ・遠征部隊がもんてきちゅうね |
や⇒だ/じゃ |
・やな空気やにゃ ・銃を使えん状況やったら ・心中を察したいがやったら ・どんな服を着てくるがやろうなあ ・いくさばっかりやと ・なんやあ…… ・ほたえゆう場合やないな |
やき⇒だから (や+き)⇒(だ+から) (が+やき⇒の+だから/ん+だから) |
・せっかくこがなところに来たがやき ・もともとボロ衣装やき、大差ないぜよ ・せっかくやったがやき ・日々戦術研究が必要やき |
やけど⇒だけど (や+けど)⇒(だ+けど) (が+やけど⇒の+だけど/ん+だけど) |
・土佐じゃー名刀として評判やったがやけど |
よう⇒良く |
・よう狙って、ばん! ・ようまとめて来たぜよ |
(いけ・出来・いか・構・使え・変わりゃーせ・来れ・おれ・でき・いら・変わら・いか・見られ)ん ⇒(いけ・出来・いか・構わ・使え・変わりはし・来れ・いられ・でき・いら・変わら・見られ)ない/なかった |
・時代の流れについていけんかったけのう ・大砲とか、装備出来んかのう? ・いつまでも新人顔はできんのう! ・刀が農具の代わりをしたらいかんという法はないきに ・放っちょいたらいかんぜよ ・構まんぜよ ・銃を使えん状況やったら ・なんちゃー変わりゃーせんちや ・ここに来れんかった ・ここで立ち止まっちゃおれんのう! ・軍艦とか、装備できんかのう? ・心配いらんぜよ ・変わらんといかん ・わしの見られんかった明日を |
こがな⇒こんな | ・せっかくこがなところに来たがやき |
どがな⇒どんな | ・どがな奴じゃろうなあ |
ほがな⇒そんな | ・ほがなことをしたち |
水色のセル:標準語にも同じような響きの文字があるもの
ええ(良い)けんど(けれど)
しもうた(しまった)
笑うた/思うた(笑った/思った)
ちっくと(ちょっと)
なんちゃあ(何でも/何も)
もんて(戻って)
〜せん(〜せん)※「言わんこっちゃない」「構わん」など
こがな(こんな)
どがな(どんな)
韻が似ているため、もしかしてあの言葉かな? と思いつきやすく、そこから見当をつけることが出来ます。
緑色のセル:助詞など、それを抜いてもそこそこ文意が分かるもの
おんしゃは、目標はあるがか?⇒おんしゃは、目標はあるか?ちっくとのうが悪いき、休ませとおせ⇒ちっくとのうが悪い、休ませとおせ
時代の流れについていけんかったけ⇒時代の流れについていけんかった
ほがなことをしたち、なんちゃー変わりゃーせん⇒ほがなことをした、なんちゃー変わりゃーせん
もともとボロ衣装やき、大差ないぜよ⇒もともとボロ衣装、大差ないぜよ
土佐じゃー名刀として評判やったがやけど⇒土佐じゃー名刀として評判やったが
など、そこだけ読めなくても文章としてはなんとかつながります。
黄色のセル:時代劇や年配者の言葉などで馴染みのあるもの
じゃ⇒「そうじゃなあ」まっこと⇒「まっこと、あっぱれな男よ」
ほたえなや
よう⇒「ようやった!」
ただ「ほたえなや」だけは、龍馬ものを一度も見たことのない人には未知の言葉になるかもしれません。
青色のセル:物語の状況や前後の文章からなんとなく意味がわかるもの
「のうが悪い」は戦場で中傷以上の傷を負ったり、あるいは本丸で手入れを受ける際に「ちっくとのうが悪いき、休ませとおせ」というセリフで出てくるので、「のう」そのものの意味が分からなくても(「脳」と誤解する場合もありますが……)、何か具合が悪いんだなということだけは分かります。紫色のセル:上記のどれにもあてはまらないもの
しょう⇒すごく(形容詞連体形)ほがな⇒そんな(連体詞)
これらは標準語にも時代劇などにも似た言い回しがなく、抜いてしまうと文章の意味が少し違ってしまい、また前後の文脈からも意味がつかみにくいものです。
といって、これらの単語の意味がわからなくても、文章そのものが全く意味不明になってしまうとまではいきません。
例えば「しょうこわいちや」の「しょう」を抜いて「こわいちや」にすると怖さのニュアンスは弱まってしまうものの、一番肝心な「怖がっている」ということだけは伝わりますし、「やめちょき、やめちょき。ほがなことをしたち、なんちゃー変わりゃーせんちや」の「ほがな」が分からなくても、「やめとけ。やめとけ。ホニャララ〜しても、何も変わりはしない」……相手に行為の無意味さを訴えかけて止めようとしてるんだな、ということだけは読み取ることは出来ます。
言い換えについてはもう少し詳しく見ていきたいと思います。
■ 土佐弁と標準語の使い分け
参考のため、ゲーム中のセリフで土佐弁と標準語が混在しているものをひとつひとつ見ていきます。刀/やっとう | 龍馬の時代じゃ、もう刀は時代遅れじゃった | 初期選択/刀帳。審神者と一対一、「刀」とは自分のこと? |
新撰組の刀とは喧嘩になりそうぜよ | 近侍/本丸。審神者と一対一、「刀」とは相手のこと | |
がははは、刀が馬当番! | 馬当番開始時。ほかの刀と一緒、「刀」とは自分と相手のこと | |
刀が農具の代わりをしたらいかんという法はないきに | 畑当番開始時。ほかの刀と一緒、「刀」とは自分と相手のこと | |
時代は、刀から銃に移っとったんじゃ | 対長曾祢虎徹/回想。ほかの刀と一緒、「刀」とは自分と相手のこと | |
刀の時代はもうとうの昔に終わってしもうたけんど | 刀帳。審神者と一対一、「刀」とは自分含めた全ての刀のこと? | |
これからの時代、刀が刀らしくしよっても、時代遅れじゃき | 馬当番開始時。ほかの刀と一緒、「刀」とは自分と相手のこと | |
刀が廃れて、農具のほうが役立つ時代はすぐそこぜよ | 畑当番開始時。ほかの刀と一緒、「刀」とは自分と相手のこと | |
やっとうなんて、時代遅れじゃ | 近侍/本丸。審神者と一対一、「やっとう」とは自分のこと?初期選択と対 | |
今更やっとうの稽古をしても仕方ないがか? | 手合わせ開始時・汎用。ほかの刀と一緒、「やっとう」とは剣術のこと | |
わしがやっとう苦手じゃと、言った覚えはないぜよ? | 手合わせ終了時・汎用。ほかの刀と一緒、「やっとう」とは剣術のこと |
「やっとう」は土佐弁ではなく、剣術や剣道、あるいは刀をさす俗称らしいのですが、それはさておき全体をつらつら見ていると、なんとなく法則性のようなものがあるのが分かります。
まず、本丸の「やっとうなんて、時代遅れじゃ」は同台詞内の「時代は拳銃ぜよ」、および刀帳の「龍馬の時代じゃ、もう刀は時代遅れじゃった」と対になっていると読めるので、「やっとうなんて、時代遅れじゃ」の「やっとう」は剣術ではなく刀をさしていると分かります。
ではなぜ刀帳では「刀」と言い、本丸では「やっとう」と呼んでいるかなのですが、これは刀帳のテキストは本来チュートリアルテキスト=審神者と初めて対面した時の台詞なので、土佐弁や俗称が分からない(可能性が高い)審神者のために刀帳(=チュートリアル)では「刀」と標準語で言い、一方本丸では既に近侍にしている=審神者ともある程度以上馴染んで土佐弁や俗称を出しても分かってもらえる状況になったため「やっとう」にしている、と考えることが出来ます。
ちなみに、極前の本丸で刀ではなく「やっとう」という言葉を選んだ理由ですが……、他の場合はどれも自分や他の刀も含めて広く「刀」と言っているのに対し、本丸では自分だけを指して多少の自嘲も込めて「やっとう」と言ったのではないかと考えています。
「新選組の刀とは〜」と同じく、極前の陸奥守さんの後ろ向きな視線が垣間見える台詞です。
帰ってくる/もんてくる | おお! 帰ってきちょったか! | 近侍/長期留守。審神者と一対一、久しぶりの対面 |
遠征部隊がもんてきちゅうね | 近侍/遠征部隊出迎え。審神者と一対一だが意識は遠征部隊の方へ |
長期留守の台詞で出てくる「帰ってくる」はチュートリアルと同じく、久しぶりの本丸で審神者は土佐弁を忘れてしまっているかもしれない、じゃあ標準語で話そう、という気遣いが伺えます。
遠征部隊の出迎え台詞「もんてきちゅう」は本丸および審神者への慣れと信頼、あるいは帰ってくる遠征部隊の方に気を取られているためにうっかり土佐弁が出てしまった……のどちらかが考えられます。
どんな/どがな | あいつ、どんな服を着てくるがやろうなあ | 修行見送り/近侍。審神者と一対一?、ほぼひとりごと? |
新入りは、どがな奴じゃろうなあ | 鍛刀。審神者と一対一、日常のこと |
前者は近侍台詞ですが、審神者(及び修行の旅に出る刀剣を見送りに来た仲間たち)に言っているような台詞なので、土佐弁がわからない仲間にも通じるよう、「どんな」と言ったのかもしれません。
後者は鍛刀完成時の台詞ですが、こちらは審神者に答えを求めるものというより、鍛刀で迎え入れる仲間を楽しみにするあまり思わず出たひとりごとと取ることも出来そうです。
その場合は遠征帰還台詞と同じく、意図せず土佐弁が出てしまったのかもしれません。
疲れる/だれる | 疲れちゅう時には、この甘さがたまらんのう! | 一口団子。審神者と一対一、特別なこと |
ゲームの陸奥守さんは基本的に動詞は土佐弁にしないので、「だれる」ではなく「疲れる」と言ったのではないかと思われます。
のorん/が | その先を見据えるのが肝要ぜよ | 本丸。極台詞、審神者と一対一 |
なーんもすることがないっちゅうのは、もったいないのう | 本丸/放置。審神者と一対一、あるいは一人きり? | |
おまんの言うちょるのはただの感傷じゃ | 回想/長曽根虎徹。長曽根虎徹へ向けて | |
たまにはこういうのもええのう! | 手合せ終了時/大和守安定。大和守安定へ向けて | |
いくさばっかりやと気が滅入るのもわかる | 長期留守。審神者と一対一 | |
でっかいことを成し遂げてきたんじゃろ? | 長期留守。極台詞。審神者と一対一 | |
おんしゃは、目標はあるがか? |
近侍/本丸。審神者と一対一? | |
今更やっとうの稽古をしても仕方ないがか? | 手合わせ開始時・汎用。相方の刀と一緒 | |
馬の役割が変わる日も、そのうち来るがかのう | 馬当番開始時。極台詞、相方の刀と一緒 | |
土佐じゃー名刀として評判やったがやけど |
初期選択&刀帳。審神者と一対一 | |
せっかくこがなところに来たがやき |
刀剣入手。審神者と一対一? | |
せっかくやったがやき |
任務/完了。審神者と一対一? | |
心中を察したいがやったら |
手合せ終了/長曽根虎徹。長曽根虎徹へ向けて | |
どんな服を着てくるがやろうなあ |
修行見送り/近侍。審神者と一対一?、特別なこと、他にも周囲に見送りがいる? |
確定とするのは難しいですが、もし使い分けるとしたら
・直後に「か」が来る⇒がか 「おんしゃは、目標はあるがか?」
・直後に「や」が来る⇒がや 「せっかくやったがやき」
・それ以外⇒「の」もしくは「ん」 「その先を見据えるのが肝要ぜよ」「なーんもすることがないっちゅうのは、もったいないのう」「たまにはこういうのもええのう!」「でっかいことを成し遂げてきたんじゃろ?」
となるでしょうか。
しても/したち | 戦で褒められても、微妙じゃな…… | 戦場/誉。ほぼひとりごと。他の刀がいる可能性が高い |
今更やっとうの稽古をしても仕方ないがか? | 手合わせ開始。相方の刀がいる | |
これからの時代、刀が刀らしくしよっても、時代遅れじゃき! | 馬当番開始。極台詞、相方の刀がいる | |
ほがなことをしたち、なんちゃー変わりゃーせんちや | 回想/長曽根虎徹。長曽根虎徹へ向けて |
「(し)たち」は土佐弁に詳しくないと意味のわかりにくい言葉なので、普通は「しても」と言っているのではないでしょうか。
けれど回想の時は「ほがな」「したち」「なんちゃー」「変わりゃーせん」「ちや」とわざと濃い土佐弁を多様することで、逆に相手への言葉の当たりを柔らかくしようと配慮しているように思えます。
多少きついことでも言うべきことは言っておかなければならない、けれど標準語のままだとあまりに言葉が強すぎるので、濃いめの土佐弁を多用することで少しでも耳当たりを和らげよう――と。
終わり/終い | 囲まれたら終わりじゃ | 戦場/索敵。他の刀に注意を呼びかけている |
商談は、足元見られたら終わりぜよ | 万屋。極台詞、審神者(あるいは一緒に来ている他の刀剣)に注意を促している | |
わしはここで終わりか | 刀剣破壊。ほぼひとりごと | |
おんしゃあ終いじゃあ! | 真剣必殺。極台詞、敵に向けてのもの |
これも冷静な(破壊時も含めて)時は「終わり」で、怒髪天になった時のみ「終い」になるのかもしれません。
———『刀剣乱舞-ONLINE-』より引用
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